高額医療費制度を利用すれば医療保険は必要ない?

今回は高額医療制度と医療保険の関係性についてまとめてみました。

                                                                                       

まず、高額医療制度と申請のタイミングについて調べてみました。

高額医療制度とは、ひとつの医療機関等でひと月(月の1日~末日)の窓口での支払いが高額な負担となり、自己負担の限度額を超えた場合に、超えた分のお金を払い戻してもらえる仕組みです。入院だけでなく、通院でも利用できます。月をまたぐと、医療費合計が限度額を超えていてもひと月ごとに自己負担の限度額を超えていなければ適用されません。

全国健康保険組合の図 <参照:全国健康保険協会>

健康保険組合や国民健康保険に加入していれば、誰でも使うことができますが、保険外負担分(先進医療や差額ベッド代など)や、食事負担額等は対象外となります。

毎月の上限額は、加入者が70歳未満かどうかや、加入者の所得水準によって分けられます。

 

次に、申請のタイミングについて調べてみました。

入院・手術の予定等、前もってわかっている場合は、事前に加入している保険組合に限度額適用認定証を申請しておけば、郵送の場合でも1週間程度で手元に届き、医療機関窓口に保険証と一緒に提出することにより、限度額が適用され、医療費が過大になりません。申請中の場合は窓口に伝えておくと、適用してもらえる場合があります。1機関ごとの計算になり、有効期間は3か月が多いようです。

薬局や複数の医療機関を受診した場合、限度額適用認定証が間に合わなかった場合、家族分を合算する(適用額に規定あり)場合は一度医療費を窓口で支払ってから高額医療制度を利用すれば限度額を超えている部分を還付してもらえます。ただし、還付してもらえるのは医療機関が保険組合に提出する診療報酬明細書の申請が通ってからになるので、早くても3か月程度後になるようです。

また、高額医療費貸付制度もあります。貸付といっても無利子で、後日還付される金額の一部を先払いしてもらえるイメージです。

国民健康保険に加入の方は、高額医療費貸付制度を利用すると、高額医療費で支払われる見込み額の9割を加入先の市町村が直接医療機関に支払ってくれるため、高額医療限度額+高額医療費で支払われる見込み額の1割だけを医療機関の窓口で支払えばよく、とりあえず支払った1割分も後日還付されます。

会社員等の健康保険組合に加入している方は、一度自己負担額全額を支払わなくてはなりませんが、高額医療費で支払われる見込み額の8割を2~3週間で申込者の銀行口座に振り込んでもらえます。還付されるまで3か月も待てない場合等に利用すると良いかと思います。

ただし、いずれの健康保険でも、実際の高額医療費が貸付金より少なかった場合は、その差額を返納しなければなりません。

 

低所得世帯(市民税非課税程度)や身体障碍者手帳・療育手帳等の交付を受けた方の属する世帯、65歳以上の高齢者の属する世帯等の所得制限や条件はありますが、生活福祉資金貸付制度も保証人がいれば無利子で利用することができます。検討される方は一度お住まいの市区町村社会福祉協議会にお問合わせください。

 

最新の厚生労働省の平均在院日数の調査結果では、全体の平均日数は31.9日、悪性新生物全体では18.7日、消化器系疾患では13.0日、呼吸器疾患では27.3日となっています。精神障害やアルツハイマー病では9か月程度と長くなっていますが、初期の癌や内臓系疾患の入院・通院・手術を考える場合、平均入院日数は年々短くなっており、入院日数に応じて給付される医療保険は最小限の保障でも良いかもしれません。

では、医療費が月に40万円かかった時と月に80万円かかった時に高額医療費制度を適用した場合を表1の区分ウの方で比較してみます。

つまり、月々の医療費は高額医療適用の場合下の図のようになります。

上の図からわかるように、医療費がいくらかかっても高額医療費制度を適用すれば実際の自己負担額はそれほど変わらない事がわかります。

先進医療費は高額医療制度の対象にはならないため、医療保険に加入する大きなメリットとも言えそうですが、入院・通院給付においては個室等の差額ベッド代・食事負担代・高額医療費制度の限度額程度をカバーできる保障があれば十分ではないでしょうか。

ただ、医療費が医療保険でまかなえたとしても、大病を患った場合仕事をする事が難しいため収入が減る場合が多く、就業不能時に備える保険も多くでています。入院費に関しては高額医療制度が利用できますが、治療中に働けなくなった場合等の生活費に関する保障はしっかりと考える必要があると思います。医療保険と収入を保障する保険のバランスを考えながらご加入される事をおススメします。

 

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