2019年4月から義務化が始まる年次有給休暇、病気の時には傷病手当金とどちらがお得?

20194月から年次有給休暇の義務化が始まります。

年次有給休暇の義務化とは、労働基準法が改正され、全ての企業において、年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対して、計画的付与も含め、労働者の年次有給休暇取得が5日未満の場合、使用者が労働者に年次有給休暇取得を義務づける制度のようです。

有給時期指定

入社後6か月経過した正社員の方、週4日のパート・アルバイトの方で3年6か月を経過した方、週3日のパート・アルバイトの方で5年6か月を経過した方で年次有給休暇が付与される要件を満たした方が対象になります。

 

仕事を病気やけがで休んだ場合、傷病手当金と有給休暇のどちらを利用するのが良いのかを調べてみました。

 

年次有給休暇とは、労働者が労働基準法第39条で認められた権利であり、これを行使することで賃金が支払われる休暇を取得する制度です。

 

次に傷病手当金については馴染みがない方もいらっしゃると思うので詳しく記載させて頂きます。

傷病手当金とは、健康保険制度の一つで、病気休業中に被保険者とその家族の生活を保障するために設けられた制度で、被保険者が病気やけがのために会社を休み、事業主から十分な報酬が受けられない場合に健康保険組合から支給されます。

支給条件は、

  1. 業務外の事由による病気やけがのため
  2. 病気やケガの療養のための休業であること
  3. 仕事に就く事ができないこと
  4. 連続する3日間を含み4日以上仕事に就けなかったこと
  5. 休業した期間について給与の支払いがないこと傷病手当金

支給期間は、1年6か月です。

支給される1日あたりの額は、

(支給開始日以前の継続した12か月間の各月の標準報酬月額を平均した額)÷30日×2/3

だいたい月給の2/3のイメージです。

連続する3日には、土日祝の公休や有給休暇も含みます。

この傷病手当金は、非課税所得のため所得税や住民税はかかりません。

 

では、仮に30日入院することになり、年次有給休暇が繰り越しを含め30日以上ある場合、年次有給休暇と傷病手当金のどちらを利用するのが金銭的に得なのでしょうか?

お金の事だけを考えるのであれば、残業が多い方以外は有給休暇を利用するほうがお得になります。

傷病手当金が非課税所得とはいえ、年次有給休暇には所得税と住民税がかかります(ただし、住民税については、反映されるのは翌年以降です)。年次有給休暇には残業代はないので、基本給から所得税と住民税が引かれますが、1/3も減る事は考えにくいですね。ただ、退院後の検査や通院を考えると、年次有給休暇がなければ欠勤になってしまうので、年次有給休暇も少しは残しておかれても良いかもしれません。

 

残業のない例と残業の多い例を、わかりやすくするために傷病手当金を給与の2/3とし、標準報酬月額を毎月の月給として比較してみたいと思います。

所得税は5%、住民税は前年分がかかってくるため加味せず比較してみました。

・残業のない例

標準報酬月額30万円(基本給30万円)、休業した月の所定労働日数は20日、1か月30日とします。

休業した月の所定労働日に年次有給休暇を消化した時、休業月の給料は30万円

27日間の傷病手当金を受給し、待期期間の3日間を年次有給休暇消化した時、

給与は日割計算で30万円×3/20日=45,000円

傷病手当金は30万円/30日×2/3×27日=180,000円

合計は225,000円

300,000-225,000=75,000円となりますが、所得税を5%とすると、その差は約60,000円程度となります。

残業ない例

 

・残業の多い例

標準報酬月額30万円(基本給20万円、時間外手当10万円)、休業した月の所定労働日数は20日、1か月30日とします。

休業した月の所定労働日数に年次有給休暇を消化した時、時間外手当は年次有給休暇には含まれないため、休業月の給料は20万円

27日間の傷病手当金を受給し、待期期間の3日間を年次有給休暇消化した時、

給与は日割計算で20万円×3/20日=30,000円

傷病手当金は30万円/30日×2/3×27日=180,000円

合計は210,000円

200,000-210,000=-10,000円となり、所得税を5%とすると、その差は約-20,000円程度となり、傷病手当金を受給した方が20,000円収入は増えます。

残業多い例

その月だけの収入をみると、傷病手当金を受給した方が有利な場合もあるようです。

年次有給休暇が残っていない場合にインフルエンザにかかった場合は、傷病手当金を受給しても良いと思います。

 

この傷病手当金は、自営業の方にはありませんので、所得補償保険や就業不能保険を上手く活用されてみてはいかがでしょうか。

 

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